東近江がん診療セミナー

 

第72回東近江がん診療セミナー

令和6年7月4日(木)17:30? 


 7月のがんセミナーは、第1部『消化管ストーマ造設術とその関連疾患』と、第2部『ストーマ外来を通して?オストメイトが安心して暮らせるために?』の内容で開催しました。
 第1部では、寺田外科医長より消化管ストーマの種類、消化管ストーマ造設術の適応疾患、ストーマ関連合併症についてお話がありました。
 ストーマの造設にあったっては、永久的ストーマか一時的ストーマか(期間による分類)、結腸ストーマか小腸ストーマか(造設臓器による分類)、単孔式ストーマか双孔式ストーマかの「形態による分類」があり、目的は排泄物の通り道を造るためだけでなく、腸管や肛門の安静を保つために一時的に造設することもあり、この疾患だったらこのストーマということではなく、症例一人ひとりに対して検討しながら決定していくそうです。ストーマの種類から術式、合併症から閉鎖基準まで、ストーマに関することを網羅的に説明していただき、とてもわかりやすい講演でした。
 第2部では、続宗皮膚?排泄ケア認定看護師によるオストメイト(様々な病気や事故などにより、おなかに排泄のための「ストーマ(人工肛門?人工膀胱)」を造設した人)が安心して暮らせるよう、対処方法や当院の取り組みについてお話がありました。
 講演では、ストーマの造設により、これまでの生活とは違った排泄を余儀なくされた患者さんを対象としたアンケート 「ストーマ管理で困った経験」(NPO法人:SIUPストーマ保有者困った経験の実態調査報告書2020)が紹介され、ストーマの袋がふくらむ、皮膚がただれる、においが気になる、便や尿が漏れる、といったお困りごとに対し、その不安を解消するための市販品の紹介や自治体の補助について説明がありました。また、退院された患者さんへのフォローとして、ストーマ外来の開設や訪問看護ステーションとの連携?訪問など、当院の活動について院内外にアピールを行いました。また最後には、患者さん自身の高齢化や抗がん剤の副作用によって、セルフケアが難しいオストメイトが増えていきている社会的背景についても示唆されました。
  
 次回『第73回東近江がん診療セミナー』は、10/3(木)17:30?開催予定(内容未定)です。
★がんセミナーは会場とZoomの併用で開催。Zoom参加をご希望の方は、東近江総合医療センター地域医療連携室(E-mail:402-chikirenkei@mail.hosp.go.jp)までメールをお願いします。

寺田外科医長

第1部講演

地域医療連携室吉田師長

第2部座長
 

続宗皮膚?排泄ケア認定看護師

 第2部講演
 

 

 会場の様子

第71回東近江がん診療セミナー

令和6年6月6日(木)17:30? 


 6月のがんセミナーは、第1部『肺癌化学療法の副作用対策?免疫チェックポイント阻害剤を中心に?』、第2部『がん化学療法の副作用に関する指導?退院後の生活を見据えて?』の内容で開催しました。
 肺癌の化学療法で使用される薬剤のひとつ、免疫チェックポイント阻害薬には、がん細胞が免疫細胞にかけているブレーキを解除し、免疫細胞の攻撃力を回復させるため、免疫が強くなりすぎることによって副作用が現れる可能性があります。この免疫に関する副作用は、皮膚、消化管、肝臓、肺、甲状腺などのホルモン産生臓器でよく見られますが、腎臓や神経、筋肉、眼にも現れることが報告されており、全身のどこにでも副作用が生じる可能性があります。(日本肺癌学会編:患者さんのための肺がんガイドブック2019年より)講演では「irAE肺臓炎」と「サイトカイン放出症候群」を発症した症例から、副作用に対処した事例が発表されました。
 最後には「肺癌化学療法では、今や免疫チェックポイント阻害薬がキードラッグとなっているが、副作用は自覚症状が発熱や倦怠感など非特異的であっても重篤化する場合があり、早期治療介入が重要となるため、対応に習熟する必要がある」と締めくくられました。
 免疫チェックポイント阻害薬では数週間、数ヶ月経過してから副作用が起こることも報告されており、第2部では、退院後、患者さんが安心した生活を送れるように、南5病棟の取り組みである「パンフレットの見直し」について報告がありました。退院する患者さんに、製薬会社のパンフレットに加え、『化学療法を受けられる患者さまとご家族の方へ』という院内オリジナルのパンフレットを見直すことにより、患者さん自身の理解を深めるとともに、経験の浅い看護師でも一定水準の患者指導が可能になったというアンケート結果が発表されました。
  
 次回『第72回東近江がん診療セミナー』は、7/4(木)17:30?開催予定(ストーマ関連)です。
★がんセミナーは会場とZoomの併用で開催。Zoom参加をご希望の方は、東近江総合医療センター地域医療連携室(E-mail:402-chikirenkei@mail.hosp.go.jp)までメールをお願いします。

尾崎外科診療部長

第1部座長

赤澤呼吸器外科医師

第1部講演
 

松田看護師長

 第2部座長
 

伊藤副看護師長

 第2部講演

第70回東近江がん診療セミナー+第84回ひがしおうみ☆栄養塾

令和6年5月16日(木)17:30? 


 毎年恒例、年に1回の栄養塾とのコラボ企画の今回は、原点に帰る意味で『栄養とがん』と題して、昨年4月より東近江総合医療センターに赴任された外科の山口 剛先生に講演していただきました。
 講演の内容は大きく分けて「がんと栄養」と「肥満とがん」。前半の「がんと栄養」では、がん悪液質やがん患者さんに適した栄養評価方法、食べられない患者さんの栄養摂取の選択等について、Q&A方式でわかりやすく説明がありました。
 後半の「肥満とがん」では、肥満がさまざまな病気を引き起こす原因であると同時に、がんの罹患率もあげる可能性があることを世界のデータ、アジア太平洋地域のデータ、日本のデータで示唆されました。このリスクを低減させるひとつの方法として、先生のご専門である高度肥満症に対する外科的治療について、その効果や術式、保険適応となる条件などが紹介されました。一般的にはまだ馴染みのない肥満外科?糖尿病外科手術ですが、世界では2016年までに685,874件行われており、その普及が課題のひとつであると感じました。
  
 次回『第71回東近江がん診療セミナー』は、6/6(木)17:30?開催予定(肺癌化学療法の副作用対策)です。
★がんセミナーは会場とZoomの併用で開催。Zoom参加をご希望の方は、東近江総合医療センター地域医療連携室(E-mail:402-chikirenkei@mail.hosp.go.jp)までメールをお願いします。

伊藤消化器内科医長

総合司会

山口外科医長

講演
 

きらめきホール

 会場